書店にも漢方薬の本が並んでいます。
不妊症のページをめくってみると、「ガッチリした体格の不妊症ならケイシブクリョウガン、色白で冷えがあるならトウキシャクヤクサン、便秘がちならトウカクジョウキトウ……」などと書いてあるでしょう。
けれど実際にお薬をお出ししていると、単純に本に書かれているような分類で漢方薬を飲んだからといってピタリと効くことは少ないのです。
身近な薬局にも箱入りの漢方薬が置いてありますから、先ほどのような見立てで漢方薬を選ぶことはできます。
けれど、これでは漢方薬の力の半分も引き出せないと思います。
漢方薬の体質の分類のしかたでは『虚証、実証』などが良く知られていますが、
その他にも、病状の経過や患者の体力の状態を示す『陰陽』
病気の場所、程度を示す『表裏』
体質的な『寒熱』
さきほどでてきた『気・血・水』などを判断材料とします。
その証を的確にみるために、患者さんに話を伺いながら、声の様子や話し方、顔色を観察します。
また、漢方薬を飲むうちに身体は変化してきますので、それにあわせてタイミングよく漢方薬の内容を見直していく必要があります。
証の見極めや、どの時期にどの漢方薬を飲んでもらうかという判断はとても難しいことですし、経験を積んでいなくては出来ることではありません。
ですから、一般的な知識のみで漢方薬を飲んで「漢方薬は効かない!!」と決め付けている人が少なからずいることは本当に残念です。
また、携帯電話から「不妊症の漢方薬を送ってください」などのメールを受けることも多くなりました。詳しく体質や症状がわからないとよい漢方薬は出せないのですよ、と返信すると「二年前から通院していて高プロラクチン血症といわれています」などと送り返されてきます。
けれど、メールのやりとりで得られる情報だけで薬をお出しすることはできないのです。
和漢堂では、一度はお電話かご来店をいただき詳しくお話を伺ってからお薬をおつくりしています。