男性不妊と漢方薬の関わり
高度生殖医療か漢方薬か
現代医学の技術では正常な精子が数個あれば体外受精や顕微授精で赤ちゃんを授かることは可能です。
けれど、顕微授精で赤ちゃんを授かったとしても、父親の身体は前のままです。
喉もと過ぎれば・・・・・・で、子を授かればOKではなく、不妊に直面した時点で、自分の身体や生活習慣を見つめ直し、この先の長い人生を健康に生きていけるよう、自分の身体を大切に養生して欲しい、そこに漢方薬の大きな役割があると私たちは考えています。
まずは自分の身体を生命力に満ち溢れたものにし、子にそのエネルギーを伝えてゆくのです。
女性は産後、授乳によってお母さんの免疫力を子に伝えるチャンスがありますが、男性は残念ながらそれが出来ません。
男性不妊で漢方薬の服用を始めて数ヵ月後には、疲れにくくなった、夜眠れるようになったなどの身体の変化を感じる方が多くこれは改善の証です。
出来る限り身体を整え、精子により多くのエネルギーを込めてあげることが子へのプレゼントになります。
実際、高度生殖医療に踏み切るには、肉体、費用、精神面にかかる負担はかなりのものです。倫理面での迷いも生じます。また、パートナーの女性には問題がなくとも、苦痛な治療を受けてもらわなくてはならないのも辛いこと、できることならば自然妊娠をと望まれるご夫婦が多いのも当然です。
しかし漢方薬で自然妊娠を目指すことは現代医学の治療を否定するものではありません。
人工授精、体外授精、顕微授精といった治療を受ける場合でも、漢方薬の服用で、ご夫婦の体調や精子の状態を良くしておいたほうが成功率は高くなるといわれています。
不妊治療中は、迷い、戸惑い、不安などに苛まれ、夫婦が良い精神状態を保つのが難しいときです。
そのなかで、人工受精が失敗に終わったりすると本当に落ち込んでしまうもの。
高度生殖医療と伝統的な漢方薬、両方のいいところを取り入れてできるだけ少ない痛みで子を授かることができればいいというのが和漢堂の想いです。
男性不妊と漢方薬
造精機能障害を指摘され、病院で、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などの漢方薬を処方された人も多いかと思います。
けれど、漢方薬は身体にあったものを飲んで初めて効果が出る薬です。
補中益気湯を飲んで、妊娠に成功した人がいるからといって、誰もがその漢方薬を飲めばいいというわけではもちろんありません。
腎の不足なのか、気血の不足なのか、お血によるものか、あるいはその複合かなど、漢方ならではの考え方で、原因や体質にあった漢方薬を飲む必要があります。
また、ずっと同じ漢方薬を続けて飲めば良いというのではなく、体質や症状が変わってくれば、薬を変える場合もあります。
漢方薬は経験医学ですから、なぜ・どんなメカニズムで効果が発揮されたのか科学的に証明されていないことが多くあります。
今は漢方薬も科学的実験を試み、効果を証明していこうという流れが活発ですが、まだまだほんの一部のことしかわかっていません。
一般に病院で処方される漢方薬は、西洋医学的に精子への効果がわかっているものに限定されがちです。
しかし、精子量や、運動量が増加するという効果が、科学的に検証されている漢方薬はほんの数種類に過ぎません。
その人の体調や体質をお聞きし、たとえば疲れやすいとか、足が冷えるとか、眠れないとかの訴えがあれば、それに対応した漢方薬で体調を良くすることによって、精子量や運動量が増えたという結果に繋がることが多く、精子への効果が検証されている数種類の漢方薬だけで対応するよりも、そのほうがずっと近道です。
何千年も培われてきた漢方薬の歴史のなかで経験的にわかっていること、それを今、生かしていくためには、経験を重視して、全身の状態を考慮し、昔ながらの方法で漢方薬を決める必要があります。
今、不妊症で悩んでいる人に、すべての漢方の効果が科学的に証明されるまで待つ時間はありません。