Nocturnal Enuresis

夜尿症(おねしょ)

解説

1 夜尿症(おねしょ)の子供との接し方

夜尿症・おねしょの子供への接し方は、起こさない、叱らない、あせらない、が大原則。

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寝ている子供を夜中に起こすと、パソプレッシンというホルモンの分泌が悪くなります。
パソプレッシンは尿が出にくくなるように働くホルモンです。
夜に分泌が多くなり、トイレに行かずにゆっくりと眠って体を休めることができます。昼間には分泌量が減るのでトイレの回数もふえます。
毎晩起こしていると、夜にこのホルモンが分泌されるというリズムが身に付きません。

中学生まで続いた夜尿がやっとおさまったと思ったら、不眠に悩まされるようになった例があります。
毎晩起こされていたため、目が覚める癖がついてしまったのです。
寝具を汚さないので手間はかからなくなったかもしれませんが、これでは夜尿症(おねしょ)が良くなったのではなく、夜眠れないのでトイレで用を足すようになっただけ。あまり好ましい状況ではありません。

就寝中は、膀胱にまとまった量の尿を溜めたまま過ごします。これは、膀胱の容量を増やすトレーニングにもなります。夜に起きて排尿をしてしまうとトレーニングになりません。

夜尿症・おねしょには睡眠の質を整える事も大切です。
昼間は楽しく、適度な運動をして過ごし、夜には静かで暗い環境で寝る。就寝時刻、起床時刻を規則正しく行うなどの、良い睡眠をとるためのリズムづくりを昼間から心掛けるのも大切です。

緊張する場面や、恐怖を感じたときトイレに行きたくなることが誰しもあるように、精神状態が膀胱に関係していることは確かです。
ずっと続いて困っていた9歳お子さんの夜尿が、ある時ピタリと止まったと言うので驚いたことがあります。よく話を伺うと週に6日習い事に通っていたのを全部やめさせたのだとか。本人は嫌々通っている様子がなかったのでご両親も気付かなかったのですが、子供の負担になっていたのかもしれません。

夜尿症・おねしょがストレスにならないために、失敗しても叱らないようにします。
また、叱らずとも親が心配のあまりあちらの病院、こちらで針、そちらでお灸というように様々に子供を連れまわすのもどうでしょうか。子供は自分がたいそう重大な病気だと勘違いしかねません。行く
先々で「この子はおねしょをするのです」といわれては子供の自尊心も傷ついてしまいます。